先日、フリーランスから正社員へ戻ろうとする人を取り上げたニュース記事を読みました。
少し前なら「会社を辞めて自由に働く」という生き方が憧れとして語られることが多かったのに、最近はむしろ「正社員に戻りたい」という声が目立つようになってきた——そう感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、そのニュースの内容を簡単にまとめたうえで、以前書いた「会社に依存しない生き方」を補完する形で、私の考えをお伝えしたいと思います。
元になったニュースの要約
参考にしたのは、フリーランス歴10年・41歳の男性が「正社員回帰」を目指す、というニュース記事です(ネット記事は時間が経つと消えてしまうことが多いので、要点をここに残しておきます)。
記事の要点はこうでした。
- – フリーランスとして独立した直後は、月収が正社員時代の2〜2.5倍になった
- – しかし、病気で約10ヶ月間働けなくなり、その間の収入はゼロだった
- – 年齢を重ねるにつれて案件が減り、将来への不安が大きくなった
- – キャリア形成・スキルの発展・社会保障の面で、正社員より不利だと感じるようになった
- – 結果として、再び正社員を目指す「キャリアの逆流」が起きている
独立直後の高収入の裏で、病気で長期間休んだときの無収入リスクが、いかに重いか。それがよく伝わる内容でした。
まず感じたこと:完全フリーへの「憧れ」は薄れてきている
正直に言うと、この手の記事を読んだのは今回が初めてではありません。最近、ポツポツと見かけるようになった印象です。
以前は私にも「完全フリーランス」への憧れがありました。
でも今は、そうでもなくなってきている。
そして今回の記事内容は、この私自身の感覚の変化とも重なります。
今は「会社員という立場の価値」を以前より強く感じるようになりました。
自分の中の変化が、こうした記事に表れている社会的な状況変化と、どこかでリンクしている気がするのです。
収入の柱は「数」が大事。一本だけはリスクが高い
このニュースから改めて思うのは、収入の柱の数が少ないと、会社員でもフリーランスでもリスクが高いということです。
会社員だけで「成功」しようとすると、基本的には管理職、さらにその上の上級幹部社員を目指すルートになります。でも、そうしたポストの数は限られています。誰もが登れる階段ではありません。
ただ、これは見方を変えれば、会社員としての出世ルートから外れた人ほど、仕事や収入を分散させる道を模索しやすくなるとも言えます。ある意味、チャンスでもあるのです。
会社という一本の柱に過度に依存せず、かといって完全に独立して柱を一本にするのでもなく——柱を複数持っておく。この発想が、これからの時代はますます大切になると思います。
一番刺さったのは「病気で10ヶ月無収入」というリアル
このニュースで、私が一番”刺さった”のは、病気で約10ヶ月間、収入がゼロだったという部分です。
なぜなら、私自身、過去に手術で入院したときや、コロナに感染したときに、傷病手当金を受給した経験があるからです。だからこそ、この制度のありがたみが身にしみています。
傷病手当金とは
傷病手当金は、会社員などが加入する健康保険の制度です。病気やケガで連続して働けなくなったとき、給与のおよそ3分の2が、支給開始から通算で1年6ヶ月を上限に支給されます。
ポイントは、フリーランスや自営業の人が加入する国民健康保険には、原則としてこの傷病手当金がないということです。
ニュースに出ていた男性も、もし会社員であれば、病気で休んだ期間に傷病手当金を受け取れたはずです。もちろん、会社員であっても10ヶ月も休めば、復帰したときに社内に居場所がなくなっているかもしれません。それでも、休業中に収入の支えがあるかないかでは、精神的な負担に雲泥の差があると思うのです。
そして何より、この傷病手当金という制度自体を知らない人が、意外と多いのではないかと感じています。会社員の方には、ぜひ「自分にはこういう備えがある」ということを知っておいてほしいです。
私が伝えたいこと
最後に、このニュースを読む方に、私なりの考えをお伝えします。
① 少なくとも若いうちは、フリーランスを安易におすすめしません
今は初任給が、以前とは比べものにならないほど上がっています。最初に入った会社が合わなかったとしても、今は売り手市場で、転職の選択肢はいくらでもあります。まずは会社員として、社会保障や傷病手当金といった「守り」を得ながら、経験を積む方が現実的だと思います。
② ある程度の年齢になったら「両輪」で
これは以前の記事にも書いた通りです。会社員と、それ以外(副業・投資など)。この両輪を回していくことが、現実的で、かつ豊かな生き方だと、私は考えています。
完全に独立して柱を一本にするのではなく、会社員という安定した土台(収入と社会保障)を活かしながら、その上で少しずつ自分の収入源を育てていく。それが、無理のない「会社に依存しすぎない生き方」だと思うのです。
まとめ
フリーランスから正社員へ戻る「正社員回帰」の動きは、自由な働き方の裏にあるリスク——とくに病気やケガで働けなくなったときの社会保障の差を、私たちに突きつけています。
- – 収入の柱は、一本だけだとリスクが高い
- – 会社員には傷病手当金という大きな備えがあり、これを知らない人は意外と多い
- – 若いうちは会社員で守りを固め、年齢を重ねたら会社員+αの「両輪」で
自由に憧れる気持ちは分かります。でも、その自由の裏側にあるリスクまで見たうえで、自分に合った働き方を選びたい。私はそう考えています。

