相続登記の義務化、実際にやってみた。15年放置した実家の名義変更を自分で完了させた記録

お金

実は私、父が亡くなったあと、実家の相続登記(名義変更)を約15年間、放置していました

理由は単純で、放置していても、特に困ったことがなかったからです(笑)。

固定資産税は母が払い続けていましたし、誰かに何かを言われるわけでもない。「いつかやらなければ」と頭の片隅にはありながら、ずるずると15年が経っていました。

同じような方、実は多いのではないでしょうか。

この記事では、そんな私が重い腰を上げて、司法書士に頼まず自分で相続登記を完了させた記録を残します。かかった費用、大変だったこと、そしてやってみて分かった「専門家に頼むべきケース」まで、実体験ベースでお伝えします。


相続登記は「義務」になった。放置すると過料も

まず、制度の話を簡単に。

2024年(令和6年)4月1日から、相続登記が義務化されました。ポイントは3つです。

  • – 不動産を相続したことを知った日から3年以内に登記申請が必要
  • – 正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象になる
  • 義務化より前に相続した不動産も対象(こちらは2027年3月31日までに登記が必要)

つまり、私のように「父が亡くなったのは15年前だから関係ない」とはいかないのです。過去の相続も、さかのぼって義務の対象になります。

放置しても困らなかった時代は、終わりました。


重い腰を上げた本当のきっかけは、義務化ではなかった

正直に言うと、私が動いたきっかけは、義務化のニュースそのものではありませんでした。

FP資格の勉強で、相続について学んだことです。

相続の仕組みを学ぶうちに、ある直感が湧きました。

「このままの状態で母が亡くなったら、ちょっと厄介なことになりそうだ」

父名義のままの実家。もし母に何かあれば、相続手続きは「父の相続」と「母の相続」の二段構えになり、関係者も書類も一気に複雑化します。元気なうちに片付けておくべきだ——そう考えて、ようやく動き出したのです。


自分でやるか、司法書士に頼むか

相続登記は、司法書士に依頼するのが一般的ですが、自分で手続きすることも可能です。

私が「自分でやれる」と判断した理由は、条件がシンプルだったからです。

  • – 父の遺産は、実家の家屋と土地、預貯金というシンプルな構成
  • – 相続人は全員健在で、揉める要素が何もなかった

さらに、着手前に自治体の無料相談窓口(月に数回、専門家に無料相談できる制度が多くの自治体にあります)を1回利用して、必要な書類と大まかな流れを確認しました。

これから始める方なら、この下調べはAIに相談してみるのも良いと思います。ただし最終確認は、法務局や専門家の窓口で行うのが確実です。


実際の手続きで大変だったこと

書類集めは「平日に動ける人」がカギ

相続登記には、戸籍謄本や住民票など、多くの書類が必要です。

わが家の場合、父関連の書類集めは、平日の昼間に動ける母に依頼しました。会社員が平日に役所を回るのは、それだけでかなりの負担です。平日に動ける家族がいるかどうかで、難易度は大きく変わります。

遺産分割協議書は自作した

遺産分割協議書(誰がどの遺産を相続するかを相続人全員で合意した書面)は、ネットでフォーマットを調べて、私が自分で作成しました。

わが家は相続人の間で揉める要素がなかったので、調整に労力を割かれることはなく、書類の準備だけに集中できたのは幸運でした。

法務局は平日のみ。1回の再提出も経験

登記申請の提出先は法務局です。ここで地味に効いてくるのが、法務局の窓口は平日しか開いていないこと。私は時間休を取って会社を休み、対応しました。

そして、提出した遺産分割協議書に不備があり、1回再提出になりました。自分でやる場合、この「一発では通らないかもしれない」前提で、時間に余裕を持っておくことをおすすめします。


かかった費用:相続なら「不動産取得税」はかからない

ここは、FPの勉強が役立ったところです。

不動産を取得すると、通常は次の2つの税金がかかります。

  1. 1. 不動産取得税
  2. 2. 登録免許税

しかし、相続による取得の場合、①の不動産取得税はかかりません。かかるのは②の登録免許税だけです。

登録免許税は、固定資産税評価額の0.4%。計算方法が明確なので、事前におおまかな金額を試算できます。「いくらかかるか分からない」という不安がないだけでも、ずいぶん気が楽でした。

(具体的な金額を書くと実家の評価額が分かってしまうので控えますが、事前の試算どおりの金額で済みました)

これを司法書士に依頼していたら、登録免許税に加えて、それよりはるかに大きい報酬を支払うことになっていたはずです。自分でやったぶん、その費用は丸ごと節約できました。


やってみて良かったこと:将来の手続きが一つ消えた

登記を終えて一番感じているのは、安心感です。

実家の所有権移転が完了したので、この先、母に不測の事態があっても、「父名義の実家をどうするか」という手続きはもう発生しません。将来の相続から、厄介な宿題が一つ消えたのです。

15年放置していた課題を片付けた今、はっきり言えます。これは、元気なうちにやっておくべき手続きでした。


これからやる人へ:自分でやるか、頼むかの判断基準

私はすべて独力でできましたが、誰にでも「自分でやる」をおすすめするわけではありません。

相続登記には、次の負担が発生します。

  • 書類集め(戸籍謄本など。平日に役所を回る必要がある)
  • 相続人間の調整(遺産分割協議書には全員の合意と実印が必要)
  • 法務局対応(平日のみ。不備があれば再提出)

わが家のように「遺産がシンプル・相続人全員健在・揉める要素なし」なら、自分でやれば費用を大きく抑えられます。

一方、利害関係が複雑な場合は、お金を払って司法書士などの専門家に頼んだ方が、結果的にコスパが良いケースも十分あります。ここは損得ではなく、自分の状況で判断してください。


まとめ:相続の話は「全員が元気なうち」に

最後に、一番伝えたいことを。

相続の問題は、利害関係者が健在なうちに話しておくことが何より大切です。

相続人の誰かが病気や認知症になれば、合意形成そのものが難しくなります。最悪、亡くなってしまえば、その人の相続人まで話し合いに加わることになり、手続きは一気に厄介になります。

私は15年放置しました。結果的に大きな問題にはなりませんでしたが、それは運が良かっただけです。義務化された今、放置には過料のリスクもあります。

実家の名義、そのままになっていませんか。

親が元気なうちに、まず家族で話すこと。それが、相続登記の一番の準備だと思います。

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