若い頃、国民年金の「学生納付特例」を使って、保険料を払わなかった——。
そういう方、意外と多いのではないでしょうか。実際、学生納付特例を利用した人のうち、10年以内に追納したのは1割ほどというデータもあります。つまり、9割近くが追納していないのです。
私も、その一人です。そして今、40代後半になって、はっきりと後悔しています。
なぜなら、あのとき払わなかった(そして追納もしなかった)ことで、将来受け取る年金が、満額より確実に少なくなることが分かったからです。
この記事では、私自身の失敗を正直に振り返りながら、未納期間があると年金はいくら減るのか、そして60歳からでも挽回できる方法まで、実体験を交えてお伝えします。
きっかけになったニュースの要約
この記事を書くきっかけは、あるニュース記事でした(ネット記事は消えてしまうことが多いので、要点をここに残しておきます)。
内容を要約すると、こうです。
- – 学生時代に「学生納付特例」で猶予した国民年金は、追納しないと将来の年金額に反映されない
- – 追納制度を使えば、特例の承認から10年以内なら後から納められる
- – 2年分(約40万円)を追納しても、増える年金は年約4万円・月にして約3,300円
- – 「たった月3,300円?」と思うかもしれないが、65歳から20年受け取れば約80万円、25年なら約100万円。長生きすれば、払った分の元は取れる可能性が高い
「月3,300円のために40万円?」と一瞬ためらう金額感。でも長い目で見れば損ではない——この記事を読んで、私は自分の過去を思い出し、深く反省したのです。
私の失敗①:「猶予=将来の年金が減る」と理解していなかった
学生時代、私が学生納付特例を選んだ理由は、正直に言えば「払いたくなかった」「お金に余裕がなかった」からです。
でも、それ以上に大きかったのは——「猶予」の本当の意味を理解していなかったことです。
私は当時、「学生の間は払わなくていい制度」くらいにしか思っていませんでした。ところが実際には、猶予した期間は、将来もらえる年金額には反映されないのです。つまり、追納しない限り、未納とほぼ同じ扱いになってしまう。このデメリットを、当時の私はまったく分かっていませんでした。
ここが、最初の、そして最大の失敗でした。
ただし「申請だけはしておく」ことに大きな意味がある
一つだけ、当時の私を褒めたい点があります。それは、きちんと学生納付特例の”申請”をしていたことです。
年金額に反映されない点は同じでも、「申請した猶予」と「申請すらしていない未納」では、決定的な違いがあります。
学生納付特例で承認された期間は、受給資格期間に算入されるだけでなく、万一のときの障害基礎年金・遺族基礎年金の保険料納付要件でも、きちんとカウントされます。一方、申請せずに放置した”ただの未納”だと、病気やケガで障害が残ったときに、障害基礎年金を受け取れなくなる可能性があるのです。
お金がなくて払えないなら、せめて申請だけは必ずしておく。 これは、若い方に一番伝えたいことです。
【仕組み】未納期間があると、年金はいくら減るのか
ここで、制度の仕組みを整理しておきます。これを知っておくだけで、判断がまるで変わります。
老齢基礎年金の満額は、月70,608円(令和8年度・昭和31年4月2日以後生まれの方)。これは、20歳から60歳までの40年間(480か月)、保険料をすべて納めた場合の金額です。
ポイントはここ。満額は「480か月納付」で決まるので、納めていない月があると、その分だけ満額から差し引かれていきます。
計算式はシンプルで、満額 ÷ 480か月 × 未納月数。つまり、未納1か月あたり、月およそ147円が減る計算です。
未納期間ごとの目安を出すと、こうなります。
| 未納期間 | 将来の年金の減額(月あたり) | 年間 |
|---|---|---|
| 1か月 | 約147円 | 約1,800円 |
| 3か月 | 約440円 | 約5,300円 |
| 6か月 | 約880円 | 約10,600円 |
| 1年 | 約1,760円 | 約21,200円 |
| 2年 | 約3,530円 | 約42,400円 |
| 3年 | 約5,300円 | 約63,500円 |
「1年で月1,760円」。数字だけ見ると小さく感じますが、これは受け取り始めてから亡くなるまで、ずっとです。仮に25年受け取るなら、1年分の未納だけで50万円以上の差になります。
※あくまで目安の計算です。正確な金額は、ねんきん定期便でご自身の記録を確認してください。
私の場合:合わせて約4年分の未納で、月8,000円近い減額に
では、私自身はどうなっているか。
学生時代やその後の無職期間など、保険料を払えなかった時期が、合わせて約4年分あります。
その結果、ねんきん定期便で確認すると、私が将来受け取る年金は、満額のおよそ1割、月にして8,000円近く少なくなる見込みです。
月8,000円。これも「そのくらい」と思うかもしれません。でも、年間で約10万円。年金だけで生活する老後において、この差は決して小さくありません。しかも、これが20年、25年と続いていくのです。
私の失敗②:追納の案内が来ていたのに、動かなかった
そして、悔やまれるのがここです。
学生納付特例で猶予した分は、10年以内なら「追納」して、年金額に反映させることができました。そして確か、当時追納の案内も届いていたのです。
でも、私は動きませんでした。
理由は、一括での納付負担が大きすぎると感じたから。まとまったお金を今払うのは厳しい——そう思って、そのままにしてしまったのです。
今思えば、これが二つ目の失敗でした。追納した場合のメリットとデメリットを、まったく検討しなかったのです。あのニュース記事のように「長期的には元が取れる」という視点を持っていれば、無理をしてでも追納を考えたかもしれません。でも当時の私は、目先の負担しか見ていませんでした。
そして10年の期限は、とうに過ぎました。もう、あのときの分を追納することはできません。
60歳から挽回できる——「任意加入制度」という最後の手段
ここまで後悔ばかり書いてきましたが、未納期間がある人にも、まだ打つ手が残っています。
それが、国民年金の「任意加入制度」です。
これは、60歳から65歳になるまでの間、年金が満額に満たない人が、任意で保険料を納めて、年金額を増やせる制度です。追納の10年期限を過ぎてしまった人でも、この制度なら年金を満額に近づけられます。
私はこれを使って、60歳から任意加入の手続きをし、満額受給を目指すつもりです。
過去の未納は取り戻せなくても、これから納めることで、老後の年金を少しでも満額に近づける。若い頃の失敗を、最後にリカバリーする作戦です。
「未納期間があるけど、もう手遅れだ」と思っている方へ。60歳からでも、まだ挽回の道はあります。
まとめ:目先の損得ではなく、「老後の受け取り」で考えてほしい
私の失敗から、これから同じ場面に立つ人——今まさに学生納付特例を使っている人や、そういうお子さんを持つ親御さんに、伝えたいことがあります。
年金は、目先の損得だけで判断してはいけません。
若い頃は、「今、数十万円払う」ことの負担ばかりが大きく見えます。でも、その判断は老後の受け取り金額に、一生ぶん直結します。月数千円の差が、年金生活では大きな差になるのです。
- – 未納は1か月あたり月約147円、1年で月約1,760円、将来の年金が一生減り続ける
- – 払えないときも、申請だけは必ず(障害年金などの保障を守るため)
- – 追納できるのは、承認から10年以内。この期限を絶対に逃さないこと
- – 期限を逃しても、60歳からの任意加入で挽回できる
私は、制度をよく理解しないまま「払わない」を選び、追納の機会も逃しました。この記事が、あなたが同じ後悔をしないための、小さなきっかけになれば嬉しいです。
年金のことは、若いうちは実感が湧きません。でも、いつか必ず、自分ごとになる日が来ます。そのときに後悔しないために——ぜひ一度、ねんきん定期便で、自分の記録を確認してみてください。

